2001年2月11日開催 第7回記念定期演奏会(新世紀のJ.S.BACH)
13時30分開場 14時00分開演
所沢市民文化センター ミューズ・アークホール
所沢市民文化センター ミューズ・アークホール
曲目
J.S.バッハ・マタイ受難曲
「マタイの福音書による、わたしたちのイエス・キリストの受難」 BWV244
出演者
指揮 : 牧野 成史福音書記者・アリア : シュテファン・ランクル
イエス : クルト・ヴィドマー
ソプラノ : 小泉 恵子
メゾ・ソプラノ : 小川 素子
バリトン : 北村 哲郎
オルガン : ベルンハルト・グフレラー
チェンバロ : 刈屋 公延
オーケストラ : バッハ・アカデミー管弦楽団
合唱 : 所沢バッハ・アカデミー
21世紀をひらく 待望の《マタイ受難曲》
モーツァルト教会音楽アカデミア主宰 廣政 豊私の昨年一年間の音楽体験のなかで、もっとも鮮烈な体験といえば、迷うことなく、所沢バッハアカデミー第6回定期演奏会(昨年7月)を挙げたい。 それは、モーツァルトの《レクイエム》において、牧野成史氏が指揮者であると同時に、テノール歌手としてソリストをつとめるという、 異彩を放つコンサートであった。
《モツレク》という大曲・名曲を、間違いなく世界初めての演奏形式で、堂々の成功をおさめ、われわれをアッといわせた。 さらにおなじことを横浜モーツァルト・アカデミーとも行いこれも、もちろん大成功であった。
私の昨年一年間の音楽体験のなかで、もっとも鮮烈な体験であった。
《モツレク》の独唱者として、ヨーロッパで演奏すること優に数100回におよび、またこの曲を指揮することの経験も豊かであり、 指揮者、独唱者両方の立場から、その音楽作りについての深い考察と力量をそなえている牧野氏だからこそ、このような演奏形式を成功に導くことができたのである。 われわれは、彼の指揮者としての知性、声楽家としての感性が素晴らしく融合した音楽に、初めての感動的な体験を得たのであった。
《マタイ受難曲》は《ロ短調ミサ》と共に、バッハの作品のみならず、音楽の歴史を通じて、また、あらゆるジャンルを越えて、 最高の名曲のひとつであることは、いまさら言をまたない。
所沢バッハ・アカデミー(TBA)は創立以来わずか3年半であるが、その間、国内6回、海外2回の公演を行っていることは驚異的といってよい。 その演奏レベルの高さとレパートリーをみるとさらに驚きを禁じえない。バッハ音楽の神髄であるカンタータのかずかずはいうにおよばず、 モーツァルトの<レクイエム>、モーツァルトの編曲になるヘンデルの<メサイア>、ブラームスの<ドイツ・レクイエム>などの大輪の名曲、を取り上げている。
《マタイ受難曲》や《ロ短調ミサ》など、バッハの大曲が、早晩取り上げることを期待していたところ、 21世紀幕開けにふさわしい《マタイ受難曲》をさっそくとりあげてくださるとはさすがである。
自分の音楽づくりに意欲的かつアクティブに取り組んでおられる牧野成史氏にとって、21世紀という画期的かつ大きな節目を迎えるにあたり、
《マタイ受難曲》という超大曲にチャレンジされることは、牧野成史氏の音楽活動において、弾力のあるスプリング・ボードになることは確かであろう。
牧野成史氏および所沢バッハ・アカデミーにとって、輝ける21世紀となることを、こころから期待したいのである。