2011年5月15日開催 横浜モーツアルト・アカデミー 第14回定期演奏会
13時30分開場 14時00分開演
神奈川県民ホール (小ホール)
神奈川県民ホール (小ホール)
曲目
モーツァルト 「Te Deum テ・デウム」K141「幻想曲 ヘ短調 KV 608」
「教会ソナタ KV 336」
「教会ソナタ KV 278」
「三位一体祝日のミサ」 K167 他
出演者
指揮:牧野 成史オルガン:西尾 純子
管弦楽:バッハアカデミー管弦楽団
合唱:横浜モーツァルト・アカデミー
入場料 全自由3千円
今回の聴きどころ
今回の聴きどころこのたびの演奏会は、ふだんあまり耳にすることのできない二
つの「目玉」で構成されています。
1769年10月、13歳のモーツァルトは音楽の勉強のため
に父とともにイタリアに旅します。17歳になった1773年
3月一応の目標を終えて帰郷します。本日の演奏曲目「テ・デ
ウム」KV141(66b) は、イタリア旅行の直前に作曲されたもの
。「聖三位一体の祝日のミサ」KV167 は帰郷直後、最初に作曲
されたミサです。
「テ・デウム」とは、「神よ、御身をたたえます」の意。5世
紀の昔より伝えられる神への賛歌で、以降非常に多くの音楽家
が作曲を試みています。13歳のモーツァルトもこれに挑戦し
ました。郷里の先輩、ミヒャエル・ハイドンの同名の曲を参考
にしたとはいえ、若き日の傑作です。歯切れの良いアレグロに
始まり、穏やかなアダージョ、再びアレグロに戻り、最後は二
重フーガで終わります。このフーガは13歳の作品とは思えな
いほどの出来栄えです。
「聖三位一体の祝日のミサ」は、モーツァルト自身の手で譜面
上に「聖三位一体の祝日のために」との献呈の文言が記された
唯一のミサで、三位一体の祝日、すなわち1773年6月5日
に初演されたと推定されます。彼が作曲した17曲のミサのう
ち5番目の作品で、このミサだけが、ソリストを使っていない
こと、トロンボーンやオルガンの参加がないことから、ザルツ
ブルク大聖堂ではなく、聖三位一体教会か大学の教会のために
作曲されたものと思われます。コロレド大司教がザルツブルク
に着任した後の最初のミサです。
彼がザルツブルクで書いた13のミサのなかでは最も長いもの
で、演奏時間は30分を少し超えます。コロレド大司教は、ミ
サの全行程を45分内で終わらせるよう指示しましたから、こ
の後のモーツァルトのミサ曲はより短いものとなっていきます
。音楽は、合唱・オーケストラともに極めてリズミカルに進行
します。オーケストラは華麗です。第2曲「グローリア」と第
3曲「クレド」では、独創的なフーガで締めくくります。イタ
リアでの勉強の成果でしょうか。
(YMA団員 楢崎 経右)